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教室案内

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教授あいさつ

西山主任教授の写真

KAZUTOSHI
NISHIYAMA

主任教授西山 和利

2012年6月1日より北里大学医学部脳神経内科学教室を主宰させていただいております西山と申します。主任教授として着任から10年が経過しましたので、当教室の最近の様子を御紹介させていただきたいと思います。

北里大学は、学祖である北里柴三郎博士が1914年に創設した北里研究所の50周年記念事業の一環として、ゆかりの地、東京都港区白金に1962年に衛生学部をもって創設されました。その後、医学部は1970年に設置され、清新の気風にあふれた医学教育の実践、「開拓、報恩、叡智と実践、不撓不屈」の理念を建学の精神といたしております。

教室の歴史

本学の脳神経内科学教室は、田崎義昭先生が初代教授として内科学Ⅲの中に興されました。その後、二代目・古和久幸先生、三代目・坂井文彦先生、四代目・望月秀樹先生が責任者を務められた歴史と伝統のある組織です。診療面では、北里大学病院本院と北里大学東病院をあわせて100を超える病床数を有していた時期もあり、これは全国に数多存在する大学病院の脳神経内科としましては群を抜いた規模の一つでした。これが良き臨床神経内科医を多数輩出する土壌の一翼を担っていたと言えましょう。また歴代の教授はすべて日本神経学会の理事や会長等の要職につかれており、当教室は素晴らしい指導者に恵まれた点も教室の現在の有り様の基盤になっております。

臨床面でも学術面でも日本有数の脳神経内科学教室であった当科ですが、最近の10年は大きな変革期でした。相模原キャンパスの脳神経内科は、主として急性期疾患を担当する北里大学病院と主として慢性期疾患を担当する北里大学東病院から構成されていました。開院以来40年を超える大学病院は2014年に更なる高度機能を有する新大学病院に生まれ変わりました。最新の急性期治療が可能な脳卒中センターも併設され、我々の活動も大いに発展しました。一方で1986年に開院して以来脳神経内科の難病診療に大きな貢献をしてきた北里大学東病院は2020年にその役目を終えました。東病院の脳神経内科は、その病棟機能を2018年に大学病院へ統合し、その外来機能は2020年に新規開院した北里大学病院西館に移設いたしました。活動の場所は変わりましたが、北里大学脳神経内科学は難病診療の伝統を絶やすことなく、国内国外へ広く発信も続けております。当科は相模原キャンパスのみならず、北里研究所病院(東京都港区)ならびに北里大学メディカルセンター(埼玉県北本市)にも脳神経内科病棟を運営しており、今後北里3施設の一体的発展が望まれています。

教育について

さて当教室の運営ポリシーでございますが、良き脳神経内科専門医の育成、脳神経内科疾患の超急性期~急性期~慢性期~終末期のすべてを学べる医育機関としての脳神経内科学講座の構築、これらを最大の目標として掲げております。診療面では患者本位の最良の診療の実践、これを通じて脳神経内科専門医育成のための教育体制の充実、さらには脳神経内科スタッフの個性に基づいた研究を幅広く推進、これらを教室運営の中心に考えております。

まず教育面に関してですが、初期研修と内科後期研修、そして脳神経内科専門医教育プログラム、これらをどのように効率よく運営し、充実した教育を提供できるか、ここが問われています。当教室では脳神経内科医として病棟・外来での診療を通じて屋根瓦方式での教育をうけることができ、幅広い疾患をしっかりした教育体制のもとで経験することができ、更には神経生理学、神経放射線学、神経病理学、神経心理学などの専門的な研修をも受けられる研修プログラムを提供できるよう教育体制の充実を図っています。さらに急性期疾患ないし慢性期疾患について、多くの症例の診療を主体的に実践できるよう関連病院での研修をも組み合わせて、脳神経内科専門医の養成に相応しい教育プログラムを提供しています。

診療・研究について

診療に関しましては、当院の位置する地域の特性に基づいた脳神経内科診療を心がけております。即ち医育研究機関の臨床内科系講座部門として、急性の脳神経内科疾患及び慢性の脳神経内科疾患の診療を行う必要があります。脳血管障害を中心とした急性神経疾患と、神経変性疾患を中心とする慢性神経疾患との両者を高いレベルで診療できるのが私どもの教室です。こうした特長を生かして急性疾患と慢性疾患のバランスを重視した診療運営を行うことが重要と考えています。神奈川県県央、県北部から東京都多摩地区の一部までを診療圏とする当科は、これまでも地域医療に貢献して参りましたし、今後もその使命をおろそかにすることなく精進して参る所存です。

一方で数百万人とも推定される圏域の脳神経内科疾患及びその合併症を当教室だけで診療することは不可能ですので、当教室は大学病院が対応すべき医療を適切に供給し、同時に地域医療機関との密接な連携で圏域の医療レベルの向上に寄与して参りたいと願っております。

当教室は研究面でも個性ある医学研究に取り組んで参りました。臨床教室における研究とは常に”from bench to bedside, from bedside to bench”を基本姿勢とすべきであり、当教室でも我々の診療面での特徴と表裏一体となれるような研究を伸ばす努力をして参りました。研究はあくまでも教室員が自主的に行うものであり、北里大学らしい「自由の精神」を重視して研究を推進して参りましたし、今後もこの伝統を守っていきたいと考えます。

2012年に着任した際の私は、教室員と上記のような理念と考えを共有し、脳神経内科の診療、教育、研究を大きく発展させていくことをお約束しました。着任10年の節目を迎え、これまで到達できたこと、できなかったこと、をしっかりと反省し、更なる社会への貢献を目指して参ります。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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